【物語】ポイント第３話 - イシヅヤシン OFFICIAL BLOG「叙情詩の種」

どうも、イシヅヤシンです！
前回の話はこちらから。

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今日はポイント３話目です。
ではどうぞ。

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第1章(3)章秋庭

「いいよなぁ、お前は！」

「大した仕事してなくなって親父さんのコネで稼げるもんな。」

今日も俺に嫉妬する愚か者が後を絶たない。
俺の名前は秋庭。親父がポイント管理組合のお偉いさんだから、そのコネで悠々自適な生活を過ごしている。所謂ボンボンというやつだ。

しかし、最初からそうだったわけではない。むしろ昔はその真逆の生活だった。
今でこそポイント社会になったおかげでこのような生活を送れているが、幼少期はそりゃあもう貧乏で、親に何かを買ってもらった事なんてなかった。

父はもともと小さな町工場の社長をやっていた。しかし不景気による煽りをもろにくらい、倒産寸前にまで追いやられた。そして藁にもすがる思いで銀行に行った際、父はある男と出会った。それが今のポイント管理組合の会長だ。

その男には先見の明があった。
かなり早くから「このままいけば社会から金銭が消え、ポイントが主流になる。」と予測していたのだ。

そして男は、父に今後ポイント管理組合に入る事と、町工場を担保にすればお金を融資すると約束してくれた。俺は最初詐欺だと思った。俺だけじゃなく、母もばあちゃんもそう思ったそうだ。

しかし、唯一父だけはその男を信じた。
結果、世間はポイント社会となり組合に入った父はあっという間に出世をして今となっては副会長の座まで上り詰めていた。

父が社長をしていた町工場も今となってはポイント管理組合の本部となっている。
そして、かく言う俺自身も管理職に就かせてもらい、高待遇を受けている。

俺の仕事は主に紹介だ。
これだけポイントが主流になっている世の中でもなお、目に見えるお金しか信じない・・という者も少なくない。そんな人々の職場に出向き、職務内容によってポイント制度の方が条件が良さそうであれば紹介をする・・・というのが仕事だ。

時代の流れが変わる時には決まって反対意見は多くでる。
なにかが変わるということはそういうことなのだ。人は皆、変化が怖い。
しかしそれでも変わる勇気を持ってもらうための説明をし、理解してもらうのが俺の任務だと思っている。

この前は高校の同級生を説得した。
彼女は結婚相談員という仕事をしていた。
それであれば、その対価をお金ではなくポイントにすることで、トータル的に今の倍以上の収入が得られる環境を提供することが可能であると説明した。彼女は最初「そんなバカな・・」と警戒もしたが、熱心に説明したことで切り替える勇気を持ってくれた。

俺は別に自分を善人だとは思わない。
ただ、シンプルに良い方を選べる世界であるべきだと思うだけだ。
それが誰で、どんな人間であろうとも。

それと一応断っておくが、俺たち組合側の人間にももちろん課題は届く。
だから、自分の気持ちが8割。残り2割は課題のためでもあるのだ。

俺に課せられる課題は大抵がさっき言ったような事だ。
「○○にポイント制度を紹介する」とか、「○○の会社にポイント制度を導入してもらう」などがほとんどだ。

ちなみに、一応他人がどんな課題を与えられているか・・・というのは組合の中でも極一部の者しか知ることはできない。それが知られてしまうと「あいつの方がラクじゃないか？」などと争いが始まるからだ。
俺もそこに関しては一切知る権利は与えられていないし、おそらく父も知らない部分だ。

しかし、課題を本人の意思で他人に伝える事は良しとされているので、誰がどんな課題をやっているのかを知る術はある。

なぜこのような話をしたかというと、実は昨晩、厄介な事に巻き込まれてしまったからに他ならない。
高校時代の友人(仕事を紹介した人ではなく)が自身の課題を俺に直接打ち明けたのだった。

彼女に見せられたメールには確かに管理組合のアドレスから課題が送られて来ており、メール本文には“副会長である秋庭の息子と結婚すること”という文字が書かれていた。

これは一体どういうことだ？俺にはそんな課題は来ていない。
慌てて父に連絡をするが、課題についてはやはり管理していないらしくわからないとのことだった。

これはどういうことだ・・・なにかがおかしい。
一体なにが起きているのだ・・・。

続く。

では、また。

Thank you bye-bye!

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