【物語】ポイント４話目。 - イシヅヤシン OFFICIAL BLOG「叙情詩の種」

どうも、イシヅヤシンです！今日もポイントの物語です！４話目！よろしくお願いします。

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第1章 (4) 雪乃

「これでいい、、これでいいんだ。」
女はそう呟くとグラスに残っていたワインを飲み干した。

「地球温暖化なんて絶対嘘だ。」そう疑いたくなるほど寒い日に、私は産まれたらしい。その日は雪が降り、都会では珍しく一面銀世界だったようだ。
そんな日に生まれたから私の名前には「雪」の字が入っている。

私の名前は雪乃。ポイント管理組合に務めている。
ちなみに、あまり公表していないが会長の孫でもある。

だからだろうが、私に言い寄ってくる男は多い。
ゆくゆくは会長の座を狙っている野心家たちがこぞってアプローチをしてくるのだ。

それでも、会長である祖父のお眼鏡に叶った者でなければ皆難解なポイント課題を出されて意気消沈する。

恋路を邪魔されて可哀想・・・などという声が聞こえてきそうだが、元々私という人間ではなく、“会長の孫”という肩書きに食いついてくる人たちばかりなので特に気にも留めなかった。

雪乃は切れ長な目が特徴的な顔立ちであった。
性格は昔からクールで、さばさばとしていた為、男友達も多かった。

勉強はできる方だったので、学生時代は特に困りごともなく平々凡々と暮らしていた。
大学受験も無事志望校に合格し、ごく普通のどこにでもいるような学生のせ活を送っていた。

しかし、大学２年の冬に世間が大きく動くこととなる。
ポイント社会に移り変わったのだ。
そしてその第一人者であった祖父が組合の会長に抜擢され、私の平凡な生活は瞬く間に消え去った。

クールな性格の雪乃が、唯一取り乱した時期でもあった。
これまで自由気ままに生きてきたのに、今では会長の孫として生活をしなければいけない。その無色透明な圧力が嫌でたまらなかった。

しかし人間は素晴らしい生き物で、こういった非現実なことであっても時間が経てば不思議と慣れてくる。素晴らしい・・ではなく、恐ろしいところかもしれない。

雪乃はすっかり会長の孫として立派に振る舞うようになっていた。

そんなある日、珍しく祖父からの呼び出しがあった。

「おお雪乃、きたか、会いたかったぞ。」
言葉とは裏腹にそこに温度は感じない。

「今度お前に紹介したい男ができたんだ。」
いつも通り祖父は一方的に話をした。
しかし、祖父がこんな事を言うのは初めてだった。

「へぇ、、どんな人？」
多少興味はあったが、雪乃は冷めたトーンのまま聞き返した。

会長はそんな雪乃の対応に慣れているのか、特に気にせず話を進める。
「お前の同級生に秋庭という男がいるだろ、そいつと結婚する気はないか？」

祖父はいつも突然で、いつも強引だ。
「秋庭くん？うーん、顔と名前は知ってるくらいよ？」

・・・本心だった。
それ以外の感情は生まれなかったのだ。嬉しくもなければ嫌悪感もなかった。

そしてそれは自分の意思ではどうにもならない決定事項だということを雪乃はわかっていたのだ。

数日後、雪乃は秋庭と会うことになった。
そして予め用意しておいたポイントの課題を彼に見せた。

“副会長である秋庭の息子と結婚すること”
そう書かれた文章を。

ここから物語は動き出す。
砂時計のように少しずつ、しかし確実に。

「これで準備は整った。」
「始めよう、理想の世界を創るんだ。」

第1章完

2章はまた1年くらいしたら書きます(笑)。
明日からまたいつも通りのブログに戻ります。よろしくお願いします。

では、また。

Thank you bye-bye!

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