イシヅヤシン OFFICIAL BLOG「叙情詩の種」

日々の出来事や物語、歌詞などを書きます。

【物語】ポイント 〜第1章〜

どうも、イシヅヤシンです。
読者登録100人突破記念として、以前アメブロに載せた物語の改良したものをお届けします!結末からガラッと変えました!


「ポイント」というフィクション物語です。いつもより長い分、アラも目立つかもしれませんが、読んでもらえたら嬉しいです。

では、どうぞ。

 

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ポイント


−世界はポイントで溢れている。−

2035年、春。
世界からポイントカードが無くなって5年と4ヶ月が経過した。

最新の指紋認証システムの導入により、全てのポイントは指一つで貯蓄、確認、使用が可能になった。つまり自分自身にポイントが付随する形となったのだ。

その結果“ポインター”という、ポイントのみで生活する人も大幅に増え、世界的な流行となったというのも記憶に新しい。

このポイントシステムとは、従来のポイントカードやネット上などでショッピングができるポイントの他に、“ボーナスポイント”と呼ばれるものが存在する。

 

ボーナスポイント


ボーナスポイントとは、国が定めた専門家から各々に課される課題を達成すると得られるポイントの事である。

この課題はその人の生活環境によってバラバラであり、各々が頑張ればクリアできるであろうレベルに設定してある。毎朝9時になると登録しているアドレス宛に本日の課題を知らせるメールがくる。

例えば「困っている人に声をかけて助ける。」だとか、「10キロ歩く。」など、人の為、自分の為になる事をしてポイントが貯まるシステムなのだ。

そして全ての課題において、チャレンジするか否かは自由であり、拒否(パス)することも可能だ。もちろん断ったからといってポイントが減る、などという事もない。

犯罪の減少

また昨年度より、この指紋認証システムの登録が全世界で義務化された為、犯罪者の検挙率があがった事も注目されている。

そもそも指紋というのは個人を特定する上で、非常に有力な情報である。
犯罪事件において、指紋の証拠能力の高さはもはや説明するまでもないだろう。

さらに、一般人が犯罪者を見つけ通報すると多くのポイントが得られるシステムになっている為、世界的に犯罪が激減している…という仕組みだ。

・・・と、このように、我々の世界はポイントで溢れている。
見方によっては“支配されている”というべきなのかもしれないが・・・。

 

これはそんなポイント社会におけるある4人の友人が絡んだ話だ。

 

第1章 (1) 桜井


私の名は桜井。所謂ポインターだ。

もともと銀行員という堅い仕事に就いていたが、ポインターの増加によりお金という形での貯蓄をする人が減ったことで私の仕事も激減した。

キャリア組はこぞってポイント管理組合に転職をしたが、私のような末端社員は職を追われる事となった。

私が働いていた銀行は都内でも3本の指に入るメガバンクだった。
その為入るだけで困難、3ヶ月もすれば適性を判断され、人事異動で地方に飛ばされる者もいた。

しかし私はなんとか都内に残ることができた。今思い返せば、そこで安心してしまったのがまずかったのかもしれない。

ポイント社会になった途端、銀行はどんどん潰れ、今となっては昔の見る影もない。
さらに、私と同期入社の者たちは特にタイミングが悪く、入社半年でポイント社会になる・・・という煽りを食らってしまったのだ。
つまり経験が浅い為、一番最初に見るも無残に切り捨てられた・・・ということだ。

最初は絶望と怒りが溢れていた。これだけ必死にやってきたのにこの仕打ちはないだろう・・と社会を恨んだりもした。

しかし、今となっては私はこれで良かったと思っている。
昔の自分には無かった時間も、自由も、余裕も手に入れることができたのだから。

思えば、銀行員時代は生きる為に働いているのか、働く為に生きているのかわからないような日々を送ってきた。

今は自分のペースで好きなように生活できている。特別裕福ではないがたまに寿司は食えるくらいの稼ぎもある。・・・もちろんポイントで払うわけだが。

「さて、今日も課題をクリアしてポイントを貯めるか。」
私は気合いを入れ、外に出た。

本日私に課された課題はこうだ。

"友達に心から感謝し、また感謝され、心からの「ありがとう」を言われる事"


…なんともロマンチックな課題だ。全ての課題がこのように道徳的というわけではないが、最近はこういう課題が増えてきたように思う。
先ほども言ったようにように、課題は人によって様々で、その人に合ったものが課される傾向にある。つまり、、今の私には道徳的な感情が足りないということなのだろうか・・・。

そうだとすると少し複雑だが、銀行員だった頃は確かに温もりのない仕事の仕方をしていた。笑うことなど稀で、笑ったとしても完全な営業スマイルだった。
あの頃を思えば最近の課題は真っ当なのかもしれない。

友達…か。こんな私にも古くからの友人がいる。
私は早速その友人に連絡をし、駅近くのカフェでお茶をする事にした。

約束の時間の10分前にカフェに着き、スマートフォンを確認する。
「よし、昨日の課題"10分前行動をする"クリア。」


このように、課題には期限付きのものとそうでないものが存在する。
昨日送られてきたこの課題は無期限のもので、それも何度実行してもその都度ポイントが貯まる。これは“エターナルミニポイント”といい、得られるポイントは少ないが、何度でも獲得できるポイントシステムだ。


そうこうしていると友人がやって来た。
彼女は相変わらず眩しい色の服が好きなようだ。

「やぁ、久しぶり。」そう言って自然と微笑むことができるようになった自分に少し驚く。

友人も同じように自然に微笑みながら「桜井、久しぶり!」と手を振った。

 

友人の向日葵とは高校時代の同級生で、席が隣だった。
気が合い、特に好きなバンドが同じで、よく2人でライブに行った。
付き合っているのでは・・・?という噂が流れたこともあったが、そのような関係ではなく本当に仲の良い友達だった。

カフェで私たちは当時の思い出話に花を咲かせたり、近況報告をしたりと、笑いの絶えない時間を過ごした。

あっという間に時間が過ぎ、別れ際になったところで本日の課題を思い出した私は心からの感謝を伝えようとした。


「向日葵、なんか照れ臭いんだけど・・・本当にいつもありが…」

「あ!桜井、そういえば秋庭君と雪乃、来月結婚するんだって!」

 


・・・え?
向日葵の突然の報告に私は言葉を失った。

「やっとって感じだよねぇ、、本当に良かった。」
そんな風に喜ぶ向日葵の声が耳には届いているはずだが、頭には一切入ってこない。


…何を隠そう先月、私には“その2人を破局させる”という課題が送られてきていたのだ。
私はそのノルマに疑問を抱きながらも、きっと何か大きな意味があるのだろう・・・と渋々従い、2人を破局させることに成功し、大量のポイントを得たのだった。


それなのになぜ…。これはどういうことなのだろうか・・・。


続く。




Thank you bye-bye!

 

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